自由研究「エビ中とは?」③

【出席番号3番から出席番号11番12番の間にあったもの】



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『THE FIRST TAKE』の映像を見た時、何も知らずに見ると、この6人はずっといるメンバーに見えた。
個性が滲み出てるのにとれたバランスと、パフォーマンス前後の会話に、自然と手をつなぐ仕草。

しかし調べてみるとこの中で初期メンバーは真山りかただ一人。
安本彩花星名美怜柏木ひなたも後から加入したメンバー。
小林歌穂中山莉子に限ってはメジャーデビュー後の3人同時転校時に加入しているという。


まあ年齢的に全員20歳を超えているのと、1番上が小っちゃいのでわからなかったのかもしれない。ただ数年前の映像を見て「ああ、この子が新メンバーだったのか」とはあまりわからない。

最年長真山りかから4歳下の小林歌穂中山莉子も例外ではなく加入当初の2014年頃まで遡らなければハッキリと新メンバー特有の違和感は感じられなかった。

もちろん当時のファンからすればダンス部長の瑞季、MC担当杏野なつ、独特なキャラクターの鈴木裕乃というメンバーが抜けると同時に現れた2人には、良くも悪くも違和感はあっただろう。
それでも加入1年もすればそれはなくなったのではないだろうか。




小林歌穂中山莉子はもともとは『チーム大王イカ』というグループに所属しており、そこからサプライズで転入した。
ちなみにチーム大王イカはこの時に解散となっている。もともとが期間限定ユニットのようだが、エビ中も結成時を考えれば似たようなルーツを持つグループ。いつそうなってもおかしくはなかったのかもしれない。

私立恵比寿中学の「理事長」である藤下リョウジが数名ピックアップし、最終的には「校長」であるチーフマネージャー藤井ユーイチが二人を入れようと決めたようだ。

この藤井ユーイチという人もまたエビ中を語る上で欠かすことができない人物。
監督、参謀長とでも言えばいいだろうか。立場上ある程度シビアに行かないといけないのだろうが、とにかく人間味のある心ある人。

そんな人が小林と中山を選んだ決め手は端的に言えば「人柄」と「エビ中っぽさ」。

もちろん本人達や周囲の努力もあったのだろうが、この二人のエビ中への浸透度の理由はこれだったのか、と妙に納得がいった。

「かほりこ」と呼ばれるこの二人はとにかく愛されるメンバーになっていく。





一方で迎え入れる側のメンバーにも一悶着はあった。
誰が入るかわからない段階では、新メンバー加入反対派が過半数だった。
唯一前向きだった安本と強く反対した柏木や星名は、意見交換がうまくいかず溝ができたこともあったとか。

エビ中は転校と転入を繰り返してきたグループだが、そこは人間だ。その都度いろいろと揺れ動くのは仕方ない。

そんな時に気になるのは唯一の初期メンバーである真山の存在だが、やはり1番入れ替わりを見てきたメンバーだけに「加入に反対しても結局は大人が決めることで変わらない」とどこか達観していたようだ。



出席番号3番、真山りか。メンバーカラーは紫。強烈なプロ意識と天の邪鬼な性格から表向きには強がるが、本当は誰かが去れば誰よりも泣くような人物。
エビ中のハイテンションガール」というキャッチフレーズを持ちながら、その実ローテンションな人見知りなのもそんな特徴の一端。

実際に振り返るとかほりこに対してなかなか素直になれなかったこともあったようで...。
エビ中にずっと在籍しリアリストとして屋台骨を支えながらも、人間味が溢れ出してしまうようなところがあるらしい。


エビ中は真山」という言葉があるように彼女とエビ中の歴史は、もうそれに尽きる。
実際に初期メンバー、オリジナルメンバーである真山がいなければエビ中の看板や方向性はべつのところに行っていた可能性もある。
真山がいなければグループ名の変更は容易だっただろうし、コンセプトの変更の可能性もあった。
ある意味でエビ中が掲げる「永遠に中学生」は真山がいるからと言っても過言ではない。


仲間由紀恵に憧れ芸能界に入った真山は、
今でこそパフォーマンスをはじめエビ中の根幹を担うが、当初は特に目立つ存在ではなかったらしい。
それでも同期が去り、紆余曲折があってもエビ中を愛しエビ中であり続けている。


真山が子供の頃やっていたサッカーの世界で「バンディエラ」と称される選手達がいる。
バンディエラ」とはイタリア語で「旗」や「旗手」の意味を持つ言葉。移籍をせずひとつのチームで活躍し続け、チームの象徴としてファンに愛される選手に対し敬意を込めてそう呼ぶ。
移籍の多いサッカー界ではごく限られた選手、特にリスペクトされる選手にしか使われない称号だ。
元日本代表中村憲剛川崎フロンターレ一筋を貫き「川崎のバンディエラ」と呼ばれ愛されたように。真山りかは「エビ中バンディエラ」と呼ぶに相応しい。









藤井校長は新メンバーを入れるにあたって「新メンバーが入ったら愛されてほしかったし、迎え入れるメンバーには新メンバーを愛してほしかった」という思いがあったようだ。




出席番号11番、小林歌穂。メンバーカラーは黄色。とにかく平和という言葉が似合う、よく笑う優しい子。
どうしたらこんな良い子が生まれるのか教えてもらいたいくらいだ。本人は自分自身を過小評価しているようだが、独特の感性とセンスのある人間だということは明白。メンバーが大好きでちょっと会わないともうダメらしい。


出席番号12番、中山莉子は加入当初は子鹿に例えられていたように、そんなに自己主張をするタイプではない。なのにスイッチが入るととんでもない爆発力を見せる。日本語が下手だが、発言自体は核心をつくことが多い。もともとがエビ中ファミリーということもありこの人もまたエビ中愛がある。メンバーカラーは水色。









出席番号3番は、新メンバーとして「ポンコツが入る」と聞き戸惑ったようだ。

それはそうだ。今まで積み上げてきたものがなくなる恐怖に加え、一緒に積み上げてきた仲間の中に外から得体の知れないものが混じる拒絶反応。そんなものがあって当たり前だ。
瑞季が引っ張って、なつがトークを回して、裕乃がぼそっと呟く。そんな9人のエビ中が大好き」だった真山。

それでも「自分もポンコツだったから、ポンコツが入るなら思いっきり優しくしてあげようと思った」と言う。
真山は小学生の頃いじめられていた過去をもつ。アニメ好きとして有名だが、それはその頃優しくしてくれた友達の影響らしい。エビ中に入ってからも決してできる方ではなかったが、努力と周囲の優しさに支えられここまで歩んできている。
そんな真山だからこそ、相手を思いやり行動できるのではないだろうか。





真山は親しい人間には「真山」と呼んでほしいと思っている。比較的人懐っこい小林も当初はさすがにこれをするのには戸惑ったようだ。
考えてもみてほしい。いくらあだ名のようにみんなから呼ばれているとはいえ、中学1年生の子が中学5年生いわゆる高校2年生を苗字で呼び捨てにするのは容易ではない。
例えば学校であったり部活や習い事の4歳も上の先輩を呼び捨てにできるだろうか?そもそも4歳上の先輩はそんなことをしていいと言わないし、普通言えない。

真山は9人のエビ中を思い出しながらも、目の前にいる2人を妹のようにかわいがった。
そんなある日小林は真山に話しかける。
「真山って呼んでいい?」
真山はそのことをえらく喜んだ。



小林は真山に褒められるとえらく嬉しそうにカメラに語り「真山がいると安心する」と言う。
小林よりも人見知りが激しい中山も「最初からのエビ中を守ってくれてるのはりかちゃん」と言う。





安本はかほりこの教育係になり二人を育て、それをフォローしたのは瑞季からダンス部長の座を継いだ柏木でもあった。
当初は「ここに誰かを入れてたまるか」という気持ちだったという星名も二人のキャラクターもあり、リスペクトして受け入れた。





「かほりこがいなかったら今のエビ中はない」というのはメンバーや関係者の総意である。





今までの歴史があるとはいえ、新メンバー加入というのは簡単なものではなかったはずだ。

既存のメンバー、特に唯一のオリジナルメンバーと新たに入るメンバーなんかには大きな隔たりがあってもおかしくない。

そう思い調べてみたが結局、出席番号3番から出席番号11番12番の間には愛しかなかった。




















加えて出席番号1番と4番、8番がグループを去る際に、期間にして僅か3ヶ月あまりしか共に過ごしていない11番と12番が涙を流していたことも忘れないでおきたい。