自由研究「エビ中とは?」②

私立恵比寿中学の始まりから激しすぎるメンバー変遷】



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私立恵比寿中学は2009年8月4日に結成されたという。
「永遠に中学生」を掲げる、中学校という設定のアイドルグループ。しかしその実、設定はまあ緩いらしい。恵比寿は事務所のある場所に由来。

「理事長」と呼ばれる現スターダストプロモーション社長藤下リョウジが、「ももいろクローバーZの妹分を作りたい」と割と軽いノリで作ったものらしい。当初は期間限定で、レッスン目的のグループだったとか。





初期メンバーは奏音、瑞季宇野愛海宮崎れいな真山りかの5人。

「6人体制」や「9人体制」という言葉をよく見掛けたが、そもそも最初は「5人体制」だったようだ。
何より驚いたのは現役の初期メンバーは出席番号3番真山りかだけということ。
嵐で言えば大野くん以外みんな辞めてしまっているといったところか。ワンピースの麦わらの一味で言えばルフィ以外みんな辞めてしまっているといったとこ…いや、ルフィみたく真山が集めたわけではないか。

出席番号が1番2番がなく真山の3番からというのは疑問だったが、そういうことだった。
メジャーデビュー以降に抜けた番号は欠番となっているようだ。



そのメンバーの入れ替わり。
加入を「転入」、脱退を「転校」と呼ぶらしい。その中身はまあ凄まじい。普通の学校でもそこまで入れ替わらないだろ、と言いたくなるほどだ。

まず結成半年で初期メンバーの奏音が転校。
2012年5月5日メジャーデビューの時点までに初期メンバー3人が転校している。特に初代リーダーの宮崎れいなの脱退は大きかったようで、以降はリーダーは決めないことになっているという。

てっきり現在は唯一の初期メンバーで最年長の真山がリーダーかと思ったら、そうでないのにはこういう理由があったようだ。



一方で転入も凄い。
結成から僅か2カ月で新メンバー杏野なつ安本彩花の2人が入っている。
以降メジャーデビューまでに

矢野妃菜喜
廣田あいか
星名美怜小池梨緒鈴木裕乃松野莉奈(4人同時)
柏木ひなた

の順に転入。トータルで9人が加入していることになる。

しかもうち2人が転校している。


結局結成からメジャーデビューまでの2年9カ月あまりで

5+2-1+1+1+4-1+1-1-1-1

という激しすぎるメンバー変遷をしてきたことになる。



それを経てのメジャーデビューは瑞季真山りか杏野なつ安本彩花廣田あいか星名美怜鈴木裕乃松野莉奈柏木ひなたの9名で迎えることになる。



インディーズ時代はメンバーの入れ替わりだけでなく、当然下積みのような苦労もあったようだ。予算の都合上マイクが人数分なかったのは顕著なエピソード。パートごとにマイクを回しやり繰りした。同時にパートの多い少ないもハッキリ分かれていたという。″横一列″を強調し、センターやエースといったものを置かない今のエビ中からはイメージしづらいことかもしれない。
後に語り継がれることとなる、2013年氣志團万博でのパフォーマンスは、大雨によるマイクトラブルを乗り越えてのものだった。インディーズ時代の経験というのもエビ中を知る上で、覚えておきたいことの一つだ。
















超のつく激しいメンバー変遷のインディーズ時代を経たエビ中
2012年5月5日、シングル『仮契約のシンデレラ』でメジャーデビューを果たす。


インディーズ時代からこの頃まではイベントで白塗りやティッシュを投げるなどとにかく奇抜なことをするグループだったようだ。
当初はダンスも歌も下手だったため、それを逆手にとり「キレのないダンスと不安定な歌唱力」というキャッチコピーを売りにして、学芸会と呼ばれるライブを重ね人気を獲得してきた。
「King of 学芸会」を自称した活動はメジャーデビューで勢いを増し、ここからの約1年半はまさに右肩上がり。


今や夏恒例の野外イベントとなっている夏のファミリー遠足「ファミえん」の記念すべき第一回もこの間に行われている。
ちょっと遠出して野外ライブをやるというもので大量の放水が特徴。
関係者が皆「夏といえばファミえん」と口を揃え、毎年テーマソングがリリースされるエビ中の一大イベントだ。

恒例となるイベントの口火を切った後がここまでの最大のハイライトとなる2013年12月のさいたまスーパーアリーナでのワンマンライブ。
これは当時日本人アーティスト史上最速となるメジャーデビューから1年7カ月での快挙だった。



しかし飛ぶ鳥を落とす勢いのこのグループは、すぐに真逆の意味での一大事を起こす波瀾万丈のグループでもあった。

さいたまスーパーアリーナ成功から半月あまりで、出席番号1番瑞季、出席番号4番杏野なつ、出席番号8番鈴木裕乃の転校が発表される。
転校はここから約3カ月後となる2014年4月。


3人同時にグループを辞めるというのもあまり聞かない。9人中3人が辞める。事務所絡みのグループ分裂は韓国のグループ等で聞いたことがあるが、そういうわけではないらしい。

たしかに事務所は大きく関わっているが、どうやらこれには事情がある。

スターダストプロモーションといえば山田孝之北川景子、本田翼など俳優やモデル・タレントを多数抱える大手事務所。
必然的にエビ中も俳優やモデル・タレント志望の子供達から集められたグループだ。
そしてポイントとなったのが事務所がアイドル専門の部門を新たに作ることになったということ。
要するにメンバーはこのままエビ中としてアイドルを続けるか、俳優やモデル・タレントの道に進むかの決断を迫られたわけだ。

この背景を知れば3人の転校も合点がいく。

とはいえ当時のメンバーやファンはそうは行かなかっただろう。この衝撃は文面では想像の域を出ない。



実際にメンバー間では衝撃の大きさからか残留組と転校組に分裂してしまったようだ。
これは無理もない。

インディーズ時代に転校したメンバーも含めそれぞれにそれぞれの人生がある。
もともと俳優の強い事務所で集められた期間限定でレッスン目的のグループ。いつまで続くかもわからない中でやってきたのだから、逆に残る方が凄い。
同時に当事者、ましてや10代の女の子が急に達観して受け入れられるわけもない。


「何人から何人に」や「何人体制」という数字だけではわからない重みが乗っかっていると知った。




もともとは仲の良いメンバー、結果的にはこの9人でできるのも残り僅かとなることでなんとか残留組と転校組の溝は埋められたようで、その最終ライブはより一層感動的なものとなった。

日本武道館で行われた『私立恵比寿中学合同出発式~今、君がここにいる~』にて瑞季杏野なつ鈴木裕乃の3人は転校。



残されたのは真山りか安本彩花廣田あいか星名美怜松野莉奈柏木ひなたの6人。
そしてあの2人を加えてエビ中は活動を続けることとなる。