自由研究「エビ中とは?」①
一発撮りで音楽と向き合う人気YouTubeチャンネル『THE FIRST TAKE』。
この第136回に出演した私立恵比寿中学。
披露した『なないろ』は予想を遥かに超えたクオリティーだった。
『THE FIRST TAKE』といえば過去にYOASOBI、EXILE TAKAHIRO、LiSA、清水翔太など人気に加え圧倒的な歌唱力を持つアーティストが数々出演してきた番組。
いわゆるアイドルという存在は稀で、私立恵比寿中学というアイドルグループの出演は意外に見えた。
これは偏見かもしれないがアイドルといえば口パクというイメージ。
バンドにソロシンガー、ラッパーなど音楽に関するジャンルやスタイルは様々で、それぞれに良さがあるのはわかる。だがどうしても個人的にアイドルというジャンルにはアレルギーがある。
それでも私立恵比寿中学のパフォーマンスは想像を超えてきた。それほどだった。
しかしこの私立恵比寿中学というグループ。
名前を聞いたことはあるが、馴染みのない者からすればその実態は謎。
加えてこの『THE FIRST TAKE』関連の物を辿ってもどうも理解できないワードや状況が連発する。
「9人組」「6人体制」
「第二章の終わり」「第三章の始まり」
「King of 学芸会」「ファミリー」
「不自然に空きのある出席番号」
「大切な日」「大切な曲」
一体このグループは何なのだろうか?何が起こり、どうやって現在に至っているのか?
圧巻のパフォーマンスの根源とそれに連なる謎の数々。
シンプルに言えばこの「私立恵比寿中学とは何か?」を解き明かさなければならない気がした。
アイドルにあまり馴染みがない、私立恵比寿中学をよく知らない人間が『THE FIRST TAKE』を機に
「エビ中とは?」
を探った記録をここに残したいと思う。
※無知な素人が薄っぺらい知識と勝手な憶測で書いたお勉強記録です。長いので全5回に分けてあります。
文中敬称略です、ご了承下さい。
事実と異なる場合もあるかもしれませんし、個人的な偏った意見もございますのでそちらもご了承下さい。
訂正やお叱り、その他ご意見ご感想等ありましたらお気軽にコメントいただけますと幸いです。
【音楽と真摯に向き合うグループ・私立恵比寿中学】
(上段左から真山りか、安本彩花、星名美怜、下段左から柏木ひなた、小林歌穂、中山莉子)
「永遠に中学生」をコンセプトに掲げ、「king of 学芸会」を自称する女性アイドルグループ。
公式動画『5分でわかる私立恵比寿中学』で紹介されているようにライブパフォーマンスに定評があり、人気アーティストによる楽曲提供を含む作家陣の豪華さはそのまま楽曲の質の高さと幅の広さに繋がっている。
やはりこのグループには『アイドル』というジャンルの枠には収まらない歌唱力が備わっているようだ。グループ名とのギャップには驚かされる。
レキシ池田貴史提供の『なないろ』、石崎ひゅーい提供の『ジャンプ』という代表曲のみならず、思わず聴き入ってしまう曲が揃っている。
メジャーデビューシングル『仮契約のシンデレラ』、iri提供の『I'll be here』にマカロニえんぴつはっとり提供の『愛のレンタル』、さらにエビ中のフェス定番のアゲ曲『HOT UP!!!』、王道バラード『まっすぐ』など挙げればキリがない。
こちらも公式動画にあるように安本彩花、柏木ひなたの歌唱力の高さが楽曲の良さを引き出すことを可能にしている大きな要因ではあるが、エビ中の凄いところは他のメンバーもハイレベルかつ個性派揃いということ。
これはもう実際に聴くのが何よりなので聴いたことのない方は聴いてもらいたいし、ファンの方にとっては最早当たり前のことなのだろう。
安本彩花の「パーフェクトピッチ」と呼ばれる正確さ、「エビ中の歌姫」柏木ひなたの絶対的な歌声の強さをまずベースとする。補足すると二人とも表現力や技術も高く、まさにエモーショナルと言って過言ではない。
そこに普通のグループなら余裕でエース級の歌唱力に、圧倒的表現力を兼ね備えた真山りかという第三の矢がエビ中にはある。
さらに超高音オバケ星名美怜、唯一無二の優しい歌声を持つ小林歌穂、魂に訴えかけるような歌い方で魅せる中山莉子が加わる。
一見これだけの個性が揃うと潰し合うかに見えるが、それが絶妙に共存しているのが私立恵比寿中学というグループだ。
楽曲の質の高さと幅はむしろそれぞれの個性を際立たせており、それが大きな武器となっている。
正直アイドルというものはあまり好きではない。それでもエビ中の楽曲、歌声はその壁を越えてきた。次々に聴いてしまい、徐々にそれまで好きだったアーティストに並び追い抜く勢いになってくる。
しかも楽曲が多彩なので飽きない。
代表曲はあれど、ファンの間でも好きな曲がかなり分かれるほどにとにかく幅が広い。
エビ中の楽曲を聴き漁る中で、個人的にエビ中の良さが出ていると感じた曲を何曲か紹介したい。
まずこれは無難だが、「エビ中の歌唱力の限界を」と制作された『星の数え方』(5thアルバム『MUSiC』収録曲)。
パフォーマンスに重きを置いた6人体制を象徴するこの曲は、とにかく歌唱力が要求されるのに加えハモりが重要になってくる。6人の歌唱力、技術力、表現力、さらにはチームワークがあってこそ実現できた作品となっている。
難易度ゆえに安本、柏木の安定感が存分に発揮される曲ではあるが、この曲は高音域の星名と、姉さん方についていきながらもしっかりとアクセントとなる中山が印象的な曲でもある。
その『星の数え方』よりもエビ中の個性が発揮されるのが『紅の詩』(4thアルバム『エビクラシー』収録曲)だと思う。
柏木のフィーチャー曲としてお馴染みだが、実はそれ以外のメンバーも個性が出せる曲のように見える。
各メンバーそれぞれにフィーチャー曲は存在するのだが、個性が強いだけに当然得意分野は分かれ、曲によっては良さを出し切れないこともある。
例えば同じアルバムに収録されている『感情電車』は小林歌穂が声の良さと「人」の良さを存分に発揮できるフィーチャー曲。一方で真山、柏木のような声の出力が高いメンバーはそれをフルには発揮しにくい。当然この場合は小林が凄すぎるので、真山と柏木はその良さを出すことも含め、曲に合わせるという技術の高さを見せてはいるのだが。
このように割と顕著なのが真山、柏木の出力が高く低音に強いメンバーと星名、小林のようなより個性派で高音にめっぽう強いメンバーのギャップ(安本・中山はその間を得意とし、順応性が高く比較的オールラウンドプレイヤー)。
それを絶妙なところでクリアしているのが『紅の詩』だと思う。
まずこの曲自体がオバケ曲だということ。
こんなド直球に歌唱力がないとできない曲普通アイドルにやらせないし、一線級のシンガーでもそう簡単には歌いこなせない。
声を張るところが多くパワーが要求されるので真山柏木寄りで、星名小林は苦戦するかに見える。
ところがAメロやBメロの低音とは裏腹に、サビの音自体は高いので星名小林も難なく入り込める。なんなら本質的にはむしろそちら寄りの曲なのかもしれない。
メインの柏木が常に先頭を走りその力を存分に見せるのは今更言うまでもない。
小林中山は楽しそうに、星名は切なげにAメロで物語を展開。
実は重要なBメロで安本と真山が表現力を遺憾なく発揮。声のエモさもさることながら、曲の壮大な情景を浮かべさせるかのような歌い方はサビの説得力を引き出している。
サビは柏木が引っ張りながら中山も続く。中山の歌い方はとにかくバンドサウンドに合う。それなのに割とどの曲も結局歌いこなす不思議な力がある。
そして何より凄いのがラスサビの後半。
中山の「何故に返事をクレナイ」で1段階目のラストスパートに入り
柏木の「二人の影よ伸びてピンライト」で2段階目のラストスパートに突入。
圧巻は
安本の「充電不足の夜」
真山の「紅の詩をFor you」
星名の「乙女の微々たる余裕」
小林の「睡眠不足の女優」
4連発。
何度も言うがこれは「エビ中の歌姫」と呼ばれる柏木がメインの曲だ。
なのにその柏木抜きでこの曲最大のハイライトを構成してしまっている。これがエビ中の恐ろしさであり、この『紅の詩』の恐ろしさでもある。
安本の「夜」にはその声のエモさが詰め込まれ、真山が圧倒的表現力でこの曲の核心を突き、星名の「余裕」はまさに余裕の高音、小林がまるで『感情電車』の「その空」のような伸びやかさで仕上げる。
しかもこの伸ばす部分は毎回と言っていいほどマイナーチェンジが成され進化し続けている。
6人の良さが存分に発揮される『紅の詩』を是非とも聴いてみて欲しい。
そんな『紅の詩』と並びエビ中の歌唱力を爆発させてるのが『自由へ道連れ』だと思う。
椎名林檎のカバー曲だがアレンジも違い、もはや元々エビ中の曲なのではないかと勘違いしそうになる。椎名林檎のファンを驚かせたのも頷ける。
特に柏木、安本、小林のサビでの「近づいてる」「かじかんでる」「相反する」の部分は、相当難所だが楽々と歌い上げているように見せる。そう簡単にできる芸当ではない。
真山の表現力、安本の安定感、星名の音域の広さ、柏木の技術力、小林の常人には出せない歌声に、中山の爆発力。
カバー曲でこれだけ個性を出しながら原曲のファンを納得させるというのも、よくよく考えれば凄い話だ。
エビ中は業界内でも評価の高い安本、柏木がいるが実際はセンターやエースを置かない「横一列」を強調している。
それでいながら各メンバーが主役となるフィーチャー曲では、それぞれにその個性を発揮している。『紅の詩』の項で「曲によっては個性をフルに発揮できない場合がある」と書いたが、それは必ずしも悪いわけではなく、個性の幅広さを意味している。そもそも全体的に歌唱力が高いので、フィーチャーされるメンバー以外も難なく歌い上げてくる。
『PANDORA』(6thアルバム『playlist』収録曲)は星名美怜のフィーチャー曲でエビ中史上最速最高音のナンバー。楽曲としては星名の高音が活かされる曲で、彼女の好きな漫画『呪術廻戦』で例えるならまさに星名の領域展開(いわゆる無敵や独壇場といったところ)だが、他のメンバーもこれに対応し歌い上げてくるから凄い。
誰かが前に出てもそれにしっかりとついて行き、後ろから支える。「横一列」は決して順位を決めない運動会のような馴れ合いではなく、メンバーそれぞれのスキルと努力、そして信頼関係による抜群のチームワークが成せるエビ中の強みというわけだ。
そんなエビ中の音楽。
そもそもが三代目 J Soul Brothersの登坂広臣・今市隆二やLittle Glee Monsterのようにボーカルオーディションで選ばれた精鋭というわけではなく、あくまでアイドル。
本人達のポテンシャル・努力もさることながら、それを支えて良さを引き出してきているのはスタッフ・関係者のこだわりのように思う。
チーフマネージャーである″校長″藤井ユーイチやA&R担当の石崎裕士、演出担当の近藤キネオ、ボイストレーナーの西山恵美子。加えてスターダストやソニーら各関係者が信念と愛情を持って紡いできたものがエビ中のパフォーマンスを通じて聴く者に伝わってくる。
藤井校長は歌に限らず一貫してこだわりと愛情を持ってエビ中を育ててきた。だからこそ石崎裕士や近藤キネオのような人達が集まり、彼らの形作るものにもそれが見え隠れする。
西山恵美子の教えは本人が言うように技術だけでなく伝えることやその責任、心持ちを育んでいる。首脳陣の信念が形作るものに、技術や心が乗っかればそれは響く。
これは余談かもしれないが、エビ中は担当マネージャーまで絶対音感を持っているとか。その隅内香小李やかつて担当だった古溝由紀らも含め、本当にエビ中の周りにはグループやメンバーへの愛情を持って行動できる優しい人が多い。結局そういうのはメンバーやスタッフを通じて、回り回って聴く側にも届いているんだと思う。エビ中の歌から受ける感動や凄みはそういうところが根源なのかもしれない。
「一発撮りで音楽と向き合う」がコンセプトの『THE FIRST TAKE』で伝わってきたのはまさにエビ中が「音楽と向き合う」というのをしっかりやってきたということ。
6人の歌を聴けば、それが伝わる。
それと同時にこのメンバーや関係者から滲み出る、様々な感情や人間味を感じる。
思わず歌だけでなくバックグラウンドにも関心を引かれてしまう。
そして歌を聴くだけでは謎はまだまだ多い。
これはもうエビ中の歴史を紐解かなければわからないことが多すぎる。
そう思い、その歴史の扉を開いたが最後。
想像を絶する深さに、ただただ驚くばかりだった。
自由研究「エビ中とは?」②
【私立恵比寿中学の始まりから激しすぎるメンバー変遷】
私立恵比寿中学は2009年8月4日に結成されたという。
「永遠に中学生」を掲げる、中学校という設定のアイドルグループ。しかしその実、設定はまあ緩いらしい。恵比寿は事務所のある場所に由来。
「理事長」と呼ばれる現スターダストプロモーション社長藤下リョウジが、「ももいろクローバーZの妹分を作りたい」と割と軽いノリで作ったものらしい。当初は期間限定で、レッスン目的のグループだったとか。
初期メンバーは奏音、瑞季、宇野愛海、宮崎れいな、真山りかの5人。
「6人体制」や「9人体制」という言葉をよく見掛けたが、そもそも最初は「5人体制」だったようだ。
何より驚いたのは現役の初期メンバーは出席番号3番真山りかだけということ。
嵐で言えば大野くん以外みんな辞めてしまっているといったところか。ワンピースの麦わらの一味で言えばルフィ以外みんな辞めてしまっているといったとこ…いや、ルフィみたく真山が集めたわけではないか。
出席番号が1番2番がなく真山の3番からというのは疑問だったが、そういうことだった。
メジャーデビュー以降に抜けた番号は欠番となっているようだ。
そのメンバーの入れ替わり。
加入を「転入」、脱退を「転校」と呼ぶらしい。その中身はまあ凄まじい。普通の学校でもそこまで入れ替わらないだろ、と言いたくなるほどだ。
まず結成半年で初期メンバーの奏音が転校。
2012年5月5日メジャーデビューの時点までに初期メンバー3人が転校している。特に初代リーダーの宮崎れいなの脱退は大きかったようで、以降はリーダーは決めないことになっているという。
てっきり現在は唯一の初期メンバーで最年長の真山がリーダーかと思ったら、そうでないのにはこういう理由があったようだ。
一方で転入も凄い。
結成から僅か2カ月で新メンバー杏野なつ、安本彩花の2人が入っている。
以降メジャーデビューまでに
矢野妃菜喜
廣田あいか
星名美怜、小池梨緒、鈴木裕乃、松野莉奈(4人同時)
柏木ひなた
の順に転入。トータルで9人が加入していることになる。
しかもうち2人が転校している。
結局結成からメジャーデビューまでの2年9カ月あまりで
5+2-1+1+1+4-1+1-1-1-1
という激しすぎるメンバー変遷をしてきたことになる。
それを経てのメジャーデビューは瑞季、真山りか、杏野なつ、安本彩花、廣田あいか、星名美怜、鈴木裕乃、松野莉奈、柏木ひなたの9名で迎えることになる。
インディーズ時代はメンバーの入れ替わりだけでなく、当然下積みのような苦労もあったようだ。予算の都合上マイクが人数分なかったのは顕著なエピソード。パートごとにマイクを回しやり繰りした。同時にパートの多い少ないもハッキリ分かれていたという。″横一列″を強調し、センターやエースといったものを置かない今のエビ中からはイメージしづらいことかもしれない。
後に語り継がれることとなる、2013年氣志團万博でのパフォーマンスは、大雨によるマイクトラブルを乗り越えてのものだった。インディーズ時代の経験というのもエビ中を知る上で、覚えておきたいことの一つだ。
超のつく激しいメンバー変遷のインディーズ時代を経たエビ中。
2012年5月5日、シングル『仮契約のシンデレラ』でメジャーデビューを果たす。
インディーズ時代からこの頃まではイベントで白塗りやティッシュを投げるなどとにかく奇抜なことをするグループだったようだ。
当初はダンスも歌も下手だったため、それを逆手にとり「キレのないダンスと不安定な歌唱力」というキャッチコピーを売りにして、学芸会と呼ばれるライブを重ね人気を獲得してきた。
「King of 学芸会」を自称した活動はメジャーデビューで勢いを増し、ここからの約1年半はまさに右肩上がり。
今や夏恒例の野外イベントとなっている夏のファミリー遠足「ファミえん」の記念すべき第一回もこの間に行われている。
ちょっと遠出して野外ライブをやるというもので大量の放水が特徴。
関係者が皆「夏といえばファミえん」と口を揃え、毎年テーマソングがリリースされるエビ中の一大イベントだ。
恒例となるイベントの口火を切った後がここまでの最大のハイライトとなる2013年12月のさいたまスーパーアリーナでのワンマンライブ。
これは当時日本人アーティスト史上最速となるメジャーデビューから1年7カ月での快挙だった。
しかし飛ぶ鳥を落とす勢いのこのグループは、すぐに真逆の意味での一大事を起こす波瀾万丈のグループでもあった。
さいたまスーパーアリーナ成功から半月あまりで、出席番号1番瑞季、出席番号4番杏野なつ、出席番号8番鈴木裕乃の転校が発表される。
転校はここから約3カ月後となる2014年4月。
3人同時にグループを辞めるというのもあまり聞かない。9人中3人が辞める。事務所絡みのグループ分裂は韓国のグループ等で聞いたことがあるが、そういうわけではないらしい。
たしかに事務所は大きく関わっているが、どうやらこれには事情がある。
スターダストプロモーションといえば山田孝之、北川景子、本田翼など俳優やモデル・タレントを多数抱える大手事務所。
必然的にエビ中も俳優やモデル・タレント志望の子供達から集められたグループだ。
そしてポイントとなったのが事務所がアイドル専門の部門を新たに作ることになったということ。
要するにメンバーはこのままエビ中としてアイドルを続けるか、俳優やモデル・タレントの道に進むかの決断を迫られたわけだ。
この背景を知れば3人の転校も合点がいく。
とはいえ当時のメンバーやファンはそうは行かなかっただろう。この衝撃は文面では想像の域を出ない。
実際にメンバー間では衝撃の大きさからか残留組と転校組に分裂してしまったようだ。
これは無理もない。
インディーズ時代に転校したメンバーも含めそれぞれにそれぞれの人生がある。
もともと俳優の強い事務所で集められた期間限定でレッスン目的のグループ。いつまで続くかもわからない中でやってきたのだから、逆に残る方が凄い。
同時に当事者、ましてや10代の女の子が急に達観して受け入れられるわけもない。
「何人から何人に」や「何人体制」という数字だけではわからない重みが乗っかっていると知った。
もともとは仲の良いメンバー、結果的にはこの9人でできるのも残り僅かとなることでなんとか残留組と転校組の溝は埋められたようで、その最終ライブはより一層感動的なものとなった。
日本武道館で行われた『私立恵比寿中学合同出発式~今、君がここにいる~』にて瑞季、杏野なつ、鈴木裕乃の3人は転校。
残されたのは真山りか、安本彩花、廣田あいか、星名美怜、松野莉奈、柏木ひなたの6人。
そしてあの2人を加えてエビ中は活動を続けることとなる。
自由研究「エビ中とは?」③
【出席番号3番から出席番号11番12番の間にあったもの】
『THE FIRST TAKE』の映像を見た時、何も知らずに見ると、この6人はずっといるメンバーに見えた。
個性が滲み出てるのにとれたバランスと、パフォーマンス前後の会話に、自然と手をつなぐ仕草。
しかし調べてみるとこの中で初期メンバーは真山りかただ一人。
安本彩花、星名美怜、柏木ひなたも後から加入したメンバー。
小林歌穂、中山莉子に限ってはメジャーデビュー後の3人同時転校時に加入しているという。
まあ年齢的に全員20歳を超えているのと、1番上が小っちゃいのでわからなかったのかもしれない。ただ数年前の映像を見て「ああ、この子が新メンバーだったのか」とはあまりわからない。
最年長真山りかから4歳下の小林歌穂、中山莉子も例外ではなく加入当初の2014年頃まで遡らなければハッキリと新メンバー特有の違和感は感じられなかった。
もちろん当時のファンからすればダンス部長の瑞季、MC担当杏野なつ、独特なキャラクターの鈴木裕乃というメンバーが抜けると同時に現れた2人には、良くも悪くも違和感はあっただろう。
それでも加入1年もすればそれはなくなったのではないだろうか。
小林歌穂と中山莉子はもともとは『チーム大王イカ』というグループに所属しており、そこからサプライズで転入した。
ちなみにチーム大王イカはこの時に解散となっている。もともとが期間限定ユニットのようだが、エビ中も結成時を考えれば似たようなルーツを持つグループ。いつそうなってもおかしくはなかったのかもしれない。
私立恵比寿中学の「理事長」である藤下リョウジが数名ピックアップし、最終的には「校長」であるチーフマネージャー藤井ユーイチが二人を入れようと決めたようだ。
この藤井ユーイチという人もまたエビ中を語る上で欠かすことができない人物。
監督、参謀長とでも言えばいいだろうか。立場上ある程度シビアに行かないといけないのだろうが、とにかく人間味のある心ある人。
そんな人が小林と中山を選んだ決め手は端的に言えば「人柄」と「エビ中っぽさ」。
もちろん本人達や周囲の努力もあったのだろうが、この二人のエビ中への浸透度の理由はこれだったのか、と妙に納得がいった。
「かほりこ」と呼ばれるこの二人はとにかく愛されるメンバーになっていく。
一方で迎え入れる側のメンバーにも一悶着はあった。
誰が入るかわからない段階では、新メンバー加入反対派が過半数だった。
唯一前向きだった安本と強く反対した柏木や星名は、意見交換がうまくいかず溝ができたこともあったとか。
エビ中は転校と転入を繰り返してきたグループだが、そこは人間だ。その都度いろいろと揺れ動くのは仕方ない。
そんな時に気になるのは唯一の初期メンバーである真山の存在だが、やはり1番入れ替わりを見てきたメンバーだけに「加入に反対しても結局は大人が決めることで変わらない」とどこか達観していたようだ。
出席番号3番、真山りか。メンバーカラーは紫。強烈なプロ意識と天の邪鬼な性格から表向きには強がるが、本当は誰かが去れば誰よりも泣くような人物。
「エビ中のハイテンションガール」というキャッチフレーズを持ちながら、その実ローテンションな人見知りなのもそんな特徴の一端。
実際に振り返るとかほりこに対してなかなか素直になれなかったこともあったようで...。
エビ中にずっと在籍しリアリストとして屋台骨を支えながらも、人間味が溢れ出してしまうようなところがあるらしい。
「エビ中は真山」という言葉があるように彼女とエビ中の歴史は、もうそれに尽きる。
実際に初期メンバー、オリジナルメンバーである真山がいなければエビ中の看板や方向性はべつのところに行っていた可能性もある。
真山がいなければグループ名の変更は容易だっただろうし、コンセプトの変更の可能性もあった。
ある意味でエビ中が掲げる「永遠に中学生」は真山がいるからと言っても過言ではない。
仲間由紀恵に憧れ芸能界に入った真山は、
今でこそパフォーマンスをはじめエビ中の根幹を担うが、当初は特に目立つ存在ではなかったらしい。
それでも同期が去り、紆余曲折があってもエビ中を愛しエビ中であり続けている。
真山が子供の頃やっていたサッカーの世界で「バンディエラ」と称される選手達がいる。
「バンディエラ」とはイタリア語で「旗」や「旗手」の意味を持つ言葉。移籍をせずひとつのチームで活躍し続け、チームの象徴としてファンに愛される選手に対し敬意を込めてそう呼ぶ。
移籍の多いサッカー界ではごく限られた選手、特にリスペクトされる選手にしか使われない称号だ。
元日本代表中村憲剛が川崎フロンターレ一筋を貫き「川崎のバンディエラ」と呼ばれ愛されたように。真山りかは「エビ中のバンディエラ」と呼ぶに相応しい。
藤井校長は新メンバーを入れるにあたって「新メンバーが入ったら愛されてほしかったし、迎え入れるメンバーには新メンバーを愛してほしかった」という思いがあったようだ。
出席番号11番、小林歌穂。メンバーカラーは黄色。とにかく平和という言葉が似合う、よく笑う優しい子。
どうしたらこんな良い子が生まれるのか教えてもらいたいくらいだ。本人は自分自身を過小評価しているようだが、独特の感性とセンスのある人間だということは明白。メンバーが大好きでちょっと会わないともうダメらしい。
出席番号12番、中山莉子は加入当初は子鹿に例えられていたように、そんなに自己主張をするタイプではない。なのにスイッチが入るととんでもない爆発力を見せる。日本語が下手だが、発言自体は核心をつくことが多い。もともとがエビ中ファミリーということもありこの人もまたエビ中愛がある。メンバーカラーは水色。
出席番号3番は、新メンバーとして「ポンコツが入る」と聞き戸惑ったようだ。
それはそうだ。今まで積み上げてきたものがなくなる恐怖に加え、一緒に積み上げてきた仲間の中に外から得体の知れないものが混じる拒絶反応。そんなものがあって当たり前だ。
「瑞季が引っ張って、なつがトークを回して、裕乃がぼそっと呟く。そんな9人のエビ中が大好き」だった真山。
それでも「自分もポンコツだったから、ポンコツが入るなら思いっきり優しくしてあげようと思った」と言う。
真山は小学生の頃いじめられていた過去をもつ。アニメ好きとして有名だが、それはその頃優しくしてくれた友達の影響らしい。エビ中に入ってからも決してできる方ではなかったが、努力と周囲の優しさに支えられここまで歩んできている。
そんな真山だからこそ、相手を思いやり行動できるのではないだろうか。
真山は親しい人間には「真山」と呼んでほしいと思っている。比較的人懐っこい小林も当初はさすがにこれをするのには戸惑ったようだ。
考えてもみてほしい。いくらあだ名のようにみんなから呼ばれているとはいえ、中学1年生の子が中学5年生いわゆる高校2年生を苗字で呼び捨てにするのは容易ではない。
例えば学校であったり部活や習い事の4歳も上の先輩を呼び捨てにできるだろうか?そもそも4歳上の先輩はそんなことをしていいと言わないし、普通言えない。
真山は9人のエビ中を思い出しながらも、目の前にいる2人を妹のようにかわいがった。
そんなある日小林は真山に話しかける。
「真山って呼んでいい?」
真山はそのことをえらく喜んだ。
小林は真山に褒められるとえらく嬉しそうにカメラに語り「真山がいると安心する」と言う。
小林よりも人見知りが激しい中山も「最初からのエビ中を守ってくれてるのはりかちゃん」と言う。
安本はかほりこの教育係になり二人を育て、それをフォローしたのは瑞季からダンス部長の座を継いだ柏木でもあった。
当初は「ここに誰かを入れてたまるか」という気持ちだったという星名も二人のキャラクターもあり、リスペクトして受け入れた。
「かほりこがいなかったら今のエビ中はない」というのはメンバーや関係者の総意である。
今までの歴史があるとはいえ、新メンバー加入というのは簡単なものではなかったはずだ。
既存のメンバー、特に唯一のオリジナルメンバーと新たに入るメンバーなんかには大きな隔たりがあってもおかしくない。
そう思い調べてみたが結局、出席番号3番から出席番号11番12番の間には愛しかなかった。
加えて出席番号1番と4番、8番がグループを去る際に、期間にして僅か3ヶ月あまりしか共に過ごしていない11番と12番が涙を流していたことも忘れないでおきたい。
自由研究「エビ中とは?」④
【ebichu prideから6voices】
2018年1月4日。
6人体制となったエビ中は日本武道館でのライブで新たなスタートを迎える。
『ebichu pride』と銘打ったこのライブは今でも語り草の伝説のライブとなった。
当時グループで最も知名度の高かった出席番号6番廣田あいかが、前日に同じ日本武道館でのライブをもって転校。
グループのパワーダウンが懸念される中で、前日と同じ場所で6人でのスタートを切った。
しかも1曲目に披露したのは廣田のイメージが強い『シンガロン・シンガソン』。
廣田が好きなMrs.GREEN APPLE大森元貴に楽曲提供してもらった彼女のラストシングルだ。
これは明らかな宣戦布告。
廣田がいた7人のエビ中や、そのイメージを持つ人々への。
1曲目からハイパフォーマンスを見せたこのライブをエビ中史上NO.1と推す声も多い。
しかしその裏で藤井校長が画策していたのは新メンバー加入発表のサプライズだった。
これは限られた数人のスタッフしか知らない計画で、当のメンバー達にも知らされていなかった。
やはり誰かが抜けたら誰かが入ってきたエビ中。しかも今回は廣田という絶大なグループのアイコンを欠くわけだから尚更だった。
それでもこの日に賭けたメンバーの鬼気迫るパフォーマンスに「するにしても今日じゃない」とサプライズは直前で消滅。
結果的にメンバーの気迫が勝ったこととなる。
後日改めて新メンバー加入について藤井校長はメンバー達の意見を聞くことに。
この時はメンバー達は否定的というわけではなく、前向きだったメンバーもいたようだ。これはかほりこ加入前後の変化でもあった。
そんな中、柏木ひなただけは新メンバー加入に納得がいかず「この6人で」と直訴した。
新メンバーを入れたい藤井校長と、新メンバーを入れず6人でやりたい柏木。話は平行線を辿る。
最終的には話し合いの中から柏木の熱意が通じたか、藤井校長はひとまず新メンバー加入は今はしないと判断。
後日それを告げられた柏木は大粒の涙を流した。
こうして始まったこの6人体制。振り返ればとにかく万全な状態でメンバーが揃わない時代だった。
そもそも柏木は2015年に突発性難聴を、小林は2016年にバセドウ病を発症しており、当時より落ち着いてはいるが不安が全くないというわけではなかった。
2018年12月には星名がリハーサル中に舞台から転落。頭部をはじめとした負傷で一歩間違えれば命の危険があったほどだった。
向こう1年ほどは安静が必要と言われたが、星名は2019年がエビ中10周年記念イヤーということもあり早期復帰。とはいえパフォーマンスは制限され、お立ち台に乗る形でパフォーマンスを続けた。
出席番号ラッキー7、星名美怜。メンバーカラーはピンク。エビ中で1番アイドルらしいと言われるが、「エビ中のイマドキ革命ガール」を名乗るように革命を起こすメンバーでもある。一方で真山に次ぐ年長メンバーでもあり、常に朝のチャイムを鳴らしていることからもわかるが必要な時にはしっかりとグループの先陣を切れる。
奇しくも怪我からお立ち台に乗ることになり「横一列」を自称するエビ中の形を崩してしまうことになったが、お立ち台に乗らなくともいつもグループ全体を見渡せる視野と責任感を持っているように思う。
星名の完全復活が見えてきた、2019年10月。今度は安本が体調不良で活動休止に。
翌2020年3月から活動再開するが、10月に悪性リンパ腫が発覚し再び活動休止。
ついには2021年に新メンバーオーディションが開催されることになり、6人が揃わないまま6人体制の終わりが見えてしまうことに。
それでもメンバー達は前向きだった。
安本の帰る場所を守ることを約束し、舞台に立ち続けた。
『6voices』と銘打った6人体制ラストツアーでは安本のフィーチャーされたブロックを作り、安本の声を流した。
メンバー、スタッフ一丸で安本の居場所を作り続けた。
パフォーマンスに力を入れた6人体制。
「パーフェクトピッチ」と称される出席番号5番安本彩花の声はエビ中にとっては必要不可欠。メンバーカラー緑の「トマト大好きリコピン少女」には、そのどこか抜けたキャラクターを活かしたMCという役割もある。
人間味溢れるというか、不器用だがまっすぐ。エビ中のことを愛し、常にその未来を模索し続けている。だから周りからも愛される。
真山に次ぐ古株だが、彼女が現メンバーで二番目に入った意味もまたとてつもなく大きいように思う。
いつの時代も新メンバー加入にはずっと前向きで、教育係としてかほりこを育てたのも彼女だった。
そんな彼女がいない中、新メンバーオーディションは行われ、2021年5月5日に新たに3名が加わりエビ中は「9人体制」に。
結局6人が万全で揃うことが少なかった「6人体制」は最後も安本不在のまま幕を閉じた。
「6人体制」を誰よりも望んだ出席番号10番柏木ひなたは、その圧倒的な歌唱力とダンスでエビ中を牽引し続けた。
パフォーマンスに力を注いだ6人体制は、ある意味でこのオレンジをメンバーカラーとする歌姫の自作自演でもあったように思う。
それは決して悪い意味ではなく、6人でやりたいと意志を示し6人の物語を作り出し、その意味を自らの高いパフォーマンス力で示してきた。
キャッチフレーズの如く「いつも笑顔なおもちゃ箱」ではあるが、元来は真面目な性格でネガティブなところもある。
6人でやって行きたいと示したのは自分だけだったことに少しの寂しさと責任を感じていた。
それ故に伝説となった『ebichu pride』を超えれなかったのではないかと悔やんでいたようだが、″エビ中の誇り″というものと誰よりも向き合い体現し続けていたのは柏木だったように思う。
この6人の声は不思議だ。
真山の芯の通った艶やかな歌声
安本のパーフェクトピッチ
星名のハイトーンボイス
柏木の絶対的なエモさ
小林の唯一無二の優しい声
中山の魂に訴えかけるような歌い方
その性格のようにそれぞれが違う個性でありながら、まとまった時にはもの凄く綺麗なものになる。
思わぬ試練で不在のメンバーが出てしまう時期は長かったが、それでも誰かがその穴を埋めて繋いできた。
特に柏木は突発性難聴で活動休止中に、治らないかもしれない不安とグループに迷惑をかけてしまう状況からエビ中を辞めなければならないと思い悩んだ過去がある。
だからこそ帰ってくる場所を守ることの重要性を感じていたに違いない。
星名も同様で、辞めなければならないと思った過去があるし、彼女自身が命の危機にさらされて間もなく今度は安本の帰る場所を守る立場になった。
真山が「ご褒美のような時間」と表した6人体制を、新メンバー加入に前向きだった星名は、誰よりも「大好き」と言って惜しんだ。
紫、緑、ピンク、オレンジ、黄色、水色。
この6色のサイリウムのバランスは綺麗だ。
その景色をファミリーだけでなくメンバー自身も愛した。そうしてまとまった6人の穏やかながらも強い意志は、どれか一つが欠けそうになっても互いにその火を消さぬように支え合った。
そうした強い思いと努力で必死に守り抜き、必死に磨き上げたのだからこの期間は決して間違いなどではない。
6人の声は確実に世界中のどこかに響いている。
自由研究「エビ中とは?」⑤(最終回)
【エビ中″らしさ″とは?】
2021年に新メンバーオーディションが開催され、新たに3人が加入しエビ中は第三章に突入した。
メンバーの入れ替わりはエビ中の特徴であり歴史でもあるが、端から見ると「それでは本来のエビ中らしさや良さは消えていくのでは?」とも思ってしまう。
これに関してはかほりこ加入時のように「その変化自体がエビ中の良さ」とも言えるし、一方で廣田転校後は新メンバーを入れずに6人体制へこだわる等、第二章で模索したことでもある。
実際に2021年のオーディションや2014年のかほりこ加入の際にコンセプトの一つとしてあったのが「エビ中らしさ」。
新メンバーにもこれは求められてきたことであり、かほりこはまさにそれがありながら新しい風を吹き込んだ。
では、「エビ中らしさ」とは何なのか?
ライブのタイトルに「エビ中ってなんか説明しづらいけど」と平気でつける首脳陣に、メンバー自身がそれを模索している様子を見るとわかりそうにもないが…もう既にここまで長々と書いたようにエビ中には確固たる武器や個性が溢れている。
なのにわからない。
やはりこの「エビ中らしさ」に迫ることが「エビ中とは?」の答えに近づけるのではないか、そんな気がした。
エビ中最大の武器は圧倒的なパフォーマンス力。楽曲の質の高さとそれを表現する心技体の強さ。
メンバー達は個性豊かでいながら、紆余曲折を乗り越えてきた固い絆で結ばれており、それが滲み出る可笑しくも優しい平和な空気に「ファミリー」と呼ばれるファンは引き寄せられる。ファミリーもまた優しいと評判なのもその特徴のひとつ。
そんなエビ中の特徴がわかり始めた時に、どうしても違和感を感じたことがあった。
過去のライブ映像を見ていると、見慣れないメンバーがいた。
これだけメンバー変遷が激しいグループだ。インディーズ時代に所属していたメンバーなんかは映像が多いわけでもないので、現代では見慣れないメンバーがいてもおかしくはない。
しかしその映像には一緒にかほりこがいる。
そのメンバーはあまり歌唱パートがなく、たまに聞こえる声はお世辞にも歌がうまいとは言えなかった。
「エビ中は歌がうまい」と思っていただけに「こんなメンバーがいたのか」と軽い衝撃を受けた。
凄く個人的で勝手なことを言えば、アイドルというものに興味はないがエビ中の歌唱力に捕まった人間なので、ちょっとこの事実は受け入れがたかった。
同じ映像にいる廣田あいかもあの特徴的な声など、奇抜ながらもどこかあるアイドルらしさゆえに苦手だ。が、彼女は歌がうまい。「エビ中の入り口」と自他ともに認める当時の中心メンバーであり、「エビ中らしさ」を担っていたであろう彼女には違和感こそあれど納得せざるを得ない。
しかし、この背が高いメンバーは違う。
「この子は何なんだろう?」新たな疑問が生まれた。
2017年2月8日、特にこの日を覚えてはいないがニュースの内容を聞けば思い出す。
しばらくして行われたというお別れ会に参列した人が2万人もいたという、そのインパクトをなんとなく覚えていたのかもしれない。
ただその亡くなった人を知らなかった。
2021年7月16日。
THE FIRST TAKEで『なないろ』を歌う私立恵比寿中学の歌に衝撃を受ける。
「大切な日に大切な曲」などの謎に直面し、調べる。
そこでようやくエビ中というものをわかり始め、松野莉奈という存在を知ることになる。
出席番号9番、松野莉奈。
キャッチフレーズは「見た目は大人、中身は子供」。メンバーカラーは青。
『なないろ』は一見恋愛ソングに聞こえるが、彼女に向けた歌だという。
やはり歌はうまくないようで、過去の映像をパッと見てもとてもグループの中心メンバーとは思えない。そんな彼女がなぜこんなにも愛されているのか。
誰かが去ったり、亡くなると神格化されることは多々ある。過去を美化するのは仕方ない。この時はそういうことなのか、とも思った。
当時のニュースを見ても「18歳アイドル急死」「早すぎる死」という、無闇に悲劇を煽る見出しが並び、コメントには「若いのにかわいそう」「不幸すぎる」というようなものが並び、すぐに見たくなくなる。
ただ、エビ中自体はあまり直接的には松野莉奈の名前を出してどうこうというのはしていないように見えた。もちろん亡くなった当時をリアルタイムには見てないのでそう感じるだけかもしれないが。
それでもエビ中の曲を聴けば松野莉奈の面影が見え隠れする。
『感情電車』、『藍色のMonday』なんかは普通に聴いていて「いい曲だな」と思った曲だ。彼女が亡くなったあとにリリースされたもので、そこに彼女の声はない。
なのに曲のことを調べれば調べるほど「松野莉奈」というワードがどうしても目に入ってくる。
「あの歌が下手で前に出ないような子がなんで?」と思うばかりだった。
聞けば松野はモデルをやっていたようだ。
モデルといえばそれだけで女子を中心に人気は強い。「だからか」とも思った。
言われてみれば背は高いし、整った顔立ちはモデルに相応しい。
でもなぜそんな子がエビ中にいるのだろうか。
モデルならモデルで行けそうなものだし、そもそもエビ中の歴史と照らし合わせれば転校していてもおかしくはない。
松野はかつて「みにちあベアーズ」というグループに所属し、そこを卒業し鈴木裕乃らとともにエビ中に転入している。
当時みにちあベアーズは小学校卒業と同時にグループを卒業するのが通例で、そこからエスカレーター式にエビ中に転入するのはお決まりのパターンだった。だが、鈴木や松野卒業の翌年からはそのエスカレーター式のパターンはなくなっている。
松野は身体の成長が早かったため衣装が合わなくなり当初の予定より1年早くみにちあベアーズを卒業している。それがなければエビ中に転入してなかった可能性があったということだ。
そんな運命のいたずら的にエビ中に転入し、モデルとしても活躍していた松野。
でも歌はうまくない。
その頃のエビ中は近年よりももう少し騒がしい曲やアイドルらしい曲も多く、そこまで歌唱力が求められた時代ではなかったのかもしれない。
彼女の生誕ライブを見ていても、まあ歌はうまくない。
それでも、楽しそうに歌う彼女とそれをわかって見ているファンは楽しそうだった。
歌っている時以外も松野はいつも楽しそうだ。
明らかにわかりやすい気分屋で飽き性なタイプだが、安本彩花や星名美怜とじゃれ合っている時も柏木ひなたをおんぶしている時も楽しそうでしかない。
たぶん松野は誰よりもエビ中でいることを楽しんでいたのだと思う。
エビ中は「同じクラスにいても仲良くならない」と歌っているように個性がバラバラな集まりだ。そんな中で近藤キネオに「目立たない端っこにいるタイプ」と言われる安本や松野がグループに居続ける理由は真山が居続ける理由とはまた違う意味で大きい。
真山にとって松野は大きな妹のようだった。松野が悩んでいればアドバイスを送り、そんな真山を松野は頼りにしたし、真山がソロデビューした際にはまるで自分のことのように大喜びした。
安本と松野はみにちあベアーズ時代からの付き合いで、人見知り同士で親友。互いの家を行き来するぐらい公私ともに仲が良かった。
星名と松野は同じタイミングでエビ中に転入した同期。苦楽を共にした仲で、遠征では別部屋でも片方の部屋に集まって寝るほどいつも一緒にいた。
柏木は小さい時からいつも大きな松野の背中にいた。ペアで動くことが多く、ちょっと会えない日が続けば寂しがり、互いのパフォーマンスを尊敬し合っていた。
後から加入したかほりこにとっては松野は憧れの存在だった。最初は「ちゃんとお姉さんになれるかな」と不安を抱いていたとおり人見知りを炸裂させていた松野。それでも「なっちゃんにしてもらったことをぽーちゃんやりったんにしてあげたい」と自分がかつて杏野なつに助けてもらったことをかほりこにも、という気持ちを持っていた。
小林歌穂は加入当初からずっと「りななんみたいになりたい」と言い続け、中山莉子も「りななんみたいなモデルになりたい」と語っている。ちゃんとお姉さんをしていたようだ。
一人っ子の松野にとってはエビ中メンバーは姉妹のような存在だったのかもしれない。
かほりこの前では頑張ってお姉さんをするが、それ以外のメンバーの前では特に無邪気で自由に振る舞っていた。
腹が減れば集中力が著しく低下して地面をいじったり、宇宙と交信したり。食べるのが大好きだからお腹が満たされれば、たちまち謎の替え歌にダンスにと暴れ回り動き回る。
なのに松野は裏表がなく、驚くほど純粋無垢で誰にでも優しい。泣き虫で不器用で誰よりも努力家でいつもまっすぐで、エビ中が大好き。
だから松野の話をする時はみんなが楽しそうで笑顔になる。
知れば知るほど松野莉奈が「永遠に中学生」を地で行くような最も「エビ中らしい」メンバーなのだと気付かされた。
2017年7月16日、「私立恵比寿中学 IDOL march HALLTOUR 2017~今、君とここにいる~」と銘打たれた春ツアーを完走したエビ中。
完全新曲のアルバム『エビクラシー』を引っ提げてのツアー最終日は、奇しくも松野莉奈の誕生日。これは松野が亡くなる前から決まっていたことで本人も楽しみにしていたという。
会場は青く染まった。
メンバーは思い出話はよくしても、必要な時以外は表立ってあからさまに松野に対してのことを語るようなことはしない。世の中には言わなきゃ伝わらないこともあるが、言わなくても伝わる強い想いもある。
廣田あいかは春ツアー完走から半年後にグループを去ったが、これは真山がそのだいぶ前から察していたように遅かれ早かれこうなるということだったのだろう。
エビ中は6人体制となり、この頃から「歌と向き合う」ということがより顕著に。
初のオリコン1位を獲得した『エビクラシー』を聴いた椎名林檎から直々にトリビュートアルバムへの参加をオファーされ、カバーした『自由へ道連れ』は椎名林檎ファンからも高い評価を受け、いまやエビ中の勝負曲のひとつとなった。
コール・サイリウム禁止の着席観覧という異例のライブ『ちゅうおん』が恒例となったのもこの頃。
2019年発表のアルバム『MUSiC』、『playlist』の音楽性の高さやクオリティーは業界でも高い評価を受けている。
そういった姿勢と積み重ねが2021年の『THE FIRST TAKE』に繋がったのは言うまでもない。
潰えたかに見えた6人体制全員揃っての最後は、待ち望んだ安本彩花の復帰によりようやくここで叶うことになる。6人体制本当の最後、エビ中第二章の終幕はここにあった。
7月16日という大切な日にこのメンバーが揃って『なないろ』を歌う意味の大きさは計り知れないものがあった。
Twitterでは「#エビ中なないろの日」がトレンド入り。
そこには「りななん」「松野莉奈生誕祭」という言葉達も溢れていた。
人間は知性があるが、忘れていく生き物だと思う。
これは生物としての特徴であり、構造上仕方のないことではある。「新しいことを知るために古いことを忘れていく」ということでもある。
これは時に残酷で薄情にすら思う。どれだけ有名だったり、どれだけ尊敬された人でも、亡くなれば忘れ去られてしまうこともある。
著名人が亡くなったニュースに世間がどれだけ驚き悲しもうとも、ずっと忘れずにいる人など一握りだ。
自分自身、身近な友人が急に亡くなったという経験がある。その時も徐々に周囲が忘れてしまっていくのを感じてしまった。
そして忘れずにいることの大切さと難しさも。
エビ中に関わる人は誰もが優しく、愛に溢れている。
今回の『THE FIRST TAKE』に限らず、2月8日にはみんなが空を見上げる。
『なないろ』や松野が大好きな『全力ランナー』がかかれば、たちまちその場が青く染まる。
松野のお母さんは今も毎月8日Instagramに彼女に関する写真をアップし、星名はエビ中加入記念日5月22日の配信で毎年必ず「莉奈と」と口にし、お祝いに青い花を用意する。
家族やメンバーだけでなく理事長、校長をはじめとするマネージャーやスタッフ、共演者、ファミリーがずっと松野のことを忘れずにいる。
こうしてよく考えてみると、当時の報道やコメントに見受けられた「不幸」だとか「かわいそう」だとかいうものには何か違和感がある。
たしかに松野莉奈が亡くなったことは言葉にできないほどに重く、残念なことだ。ただそれと松野莉奈のそれまでの人生が「不幸」とか「かわいそう」というのはまた別なのではないだろうか。
真山が「あんなに愛されいて嬉しいし、羨ましくもある」と語ったように、少なくとも松野莉奈の18年間は決して不幸などではないと思う。
もちろん生前の松野莉奈を知らない人間がこんなことを言う権利がないのはわかっている。
松野莉奈が亡くなった直後、そのこともありエビ中は知名度が上がった。
それについて小林歌穂は「なんでもっと早く気付いてくれなかったんだ!こんな偉人がいるのに」と語っている。
だいぶ遅れてだが、自分もそれに当てはまる。
同時に、こうして今でもエビ中を知り松野莉奈を知る人間がいるということの証明のひとつでもある。
それはエビ中が松野莉奈を忘れないで続けてきたことが繋がっている。
たらればは言っても仕方ないことだとわかっている。
ないことだとわかっていても『紅の詩』だったら『自由へ道連れ』だったらどこのパートを歌うのだろうか、『星の数え方』ならこうだろうか、『ちゅうおん』のソロは何が合うかと考えてしまう。よく考えればおかしな話だ。
メンバーが「莉奈からのプレゼント」と言う初のオリコン1位を獲得した『エビクラシー』。それを聴いた椎名林檎がオファーし実現したのが『自由へ道連れ』だ。
さらにその流れを汲んだのが『MUSiC』や『playlist』。
これはおそらく漫画やドラマのように「松野莉奈が2017年2月8日以降も生きている世界線」に行ったとしても実現しないこと。そしてそれを生前の松野莉奈を知らない人間が見たいと言うのだからタイムパラドックスどころの話ではない。
しかも松野莉奈のことを「歌がうまくない子」と認識していた人間が、だ。
松野莉奈にはそれくらい人を惹き付ける、人に愛される"何か"があったということだろう。
2017年7月16日の春ツアーファイナル終演後、流れた曲は『感情電車』。
小林歌穂のフィーチャー曲で、彼女の良さが最も出る曲だ。
この小林というメンバーもまた不思議な子で、柏木ひなたのような圧倒的な声の出力や安本彩花のような安定性の高いピッチを誇るわけではない。なのに高音域でその良さが出る声を持っていて、物凄く優しく心に響く歌を歌う。
彼女を筆頭にエビ中の歌を聴いていると、歌には性格や心が出るように思う。ボイストレーナーの西山恵美子の方針や指導が色濃く出ているのではないだろうか。
そんな小林歌穂やエビ中の優しい平和な空気が詰まった『感情電車』だが、春ツアーファイナル終演後に響いた声はいつもの小林の歌声ではなかった。
当時公開されていなかった音源にメンバーやファミリーも驚いたに違いない。
その声は全然「歌が下手」なんかじゃなかった。
無論、レコーディングは整った条件で幾らか手を加えたものが作られるのはわかる。
ただ、この歌がとんでもなく心に刺さるものだというのは聴けばわかる。
西山恵美子は小林歌穂の歌声について聞かれた時にこんなことを語っていた。
「あんなに人間性が出る声もない。歌心っていうのかな、それがあるの小林は。うん、小林と、松野は」
突如流れた松野莉奈の歌声にメンバーは表舞台では我慢していた涙を流した。
特に本来は割と泣き虫なはずなのに、人前ではとにかく意地を張る真山りかが号泣していたあたりに、様々な想いが表れていた。
幻だった『感情電車』が「どこにも止まれないよ」という言葉を残して終わる。すると幻だった『エビクラシー』の8人でのジャケット写真が画面に映し出された。
そしてこのツアーのタイトルである「今、君とここにいる」の文字が浮かび、ゆっくりと「これからも、君とここにいる」という文字に変わった。
舞台裏ではマネージャーの古溝由紀が舞台袖に置いた関係者用のパスをメンバーに見せた。
それは「松野莉奈/出席番号9番」と書かれたものだった。
続けて古溝はこう言った
「ずっと公演持ち歩いてるから、ちゃんとツアー回ってるから莉奈と」。
真山と星名が再び号泣する。常にグループを支える年長組二人が揃って泣き崩れる場面はそうない。それを横で優しく支える最年少組の小林。
このパスはこの時だけでなく、これ以降も毎回ライブの度に作られているという。
思い返してみればずっとそうだ。
廣田あいかの武道館での卒業ライブで『くっつきブンブン』として登場した時も
「約束の地」ハワイへ行った時も
結成10周年記念の『MUSiCフェス』を開催した時も
『THE FIRST TAKE』の『なないろ』でも
誰もが松野莉奈を想っている。
2021年8月4日、私立恵比寿中学は結成12周年を迎えた。
期間限定のレッスンユニットだったグループが、「困難が多すぎる」と言われるほどの幾多の壁を乗り越え、紡いできた12年間の歴史は重い。
「パーフェクトピッチ」と言われるほどの才能を持つ安本彩花も、最初はその優しさからか自己主張ができずにいた。出席番号5番が表すようにその長いキャリアの中で、レッスンやステージを重ね己を磨き、悪性リンパ腫という病魔との戦いにも負けないほどに強くなった。
「360°どこから見てもアイドル」な星名美怜は、いつしか「革命ガール」となった。いつも先陣を切って朝のチャイムを鳴らし、ステージでは持ち前の高音を鳴らす。出席番号ラッキー7もまた死に直面するほどの重傷から立ち直り、持ち前の天真爛漫さと、それとは裏腹なお姉さん的な聡明さでグループを牽引している。
「エビ中の末っ子」だった柏木ひなたも今やBOSSと呼ばれるほどの存在に。
突発性難聴になっても強く持ち続けた大好きな歌とダンスへのこだわり、そして大好きなエビ中へのこだわり。出席番号10番は「いつも笑顔」で『ebichu pride』を体現し続ける。
「歌う稲穂・ダンシングライス」出席番号11番小林歌穂。歌が好きになるようにと願った母が名付けたとおり、朗らかに楽しそうに歌う。バセドウ病を患っても磨いてきたその唯一無二の歌声はエビ中の大きな武器。持ち前の明るさと、滲み出るほどの優しさはグループを照らす平和の象徴でもある。
「さそり座の中学生」中山莉子。子鹿のようだった加入当初やそのかわいらしい見た目からは想像もつかない猛獣となった出席番号12番。ステージではまさに一生懸命にソウルフルに歌いながらも、ステージを降りると常に冷静に核心をつく。実は6人体制の最後まで長い休養はなくグループの安定性を支える存在でもある。
後から加入したこの5人が、困難を抱えながらも手を取り合い努力し、強い個性で「エビ中らしさ」を作ってきた。
そしてこの転入と転校を繰り返しながら幾度も荒波に晒されるグループを守ってきたのが、唯一のオリジナルメンバーである出席番号3番真山りかだ。
リーダー不在のグループにあって12年間、休むことなくステージに立ち続けたその功績はまさに「エビ中のバンディエラ」と呼ぶに相応しい。かつて「特別な才能がなく普通」と言われた彼女が繰り出すパフォーマンスのレベルの高さは、そのままイコールでエビ中の歴史でもある。
実は甘えん坊だが、その責任感と優しさでグループを守る頼りになる最年長。真山がいるからこそ、エビ中がエビ中らしくエビ中であり続けてこれたのだろう。
その真山が12周年記念のライブ配信で口にしたのは、周囲への感謝とかつての盟友達へのメッセージ。
「12周年おめでとう」と祝福のコメントをくれた元メンバーに対し
「瑞季も…転校してから何年も経ってるけど…エビ中は永遠に中学生制度をとっているから″転校″してるから、12周年おめでとう」と真山は返し、「うちの出席番号1番が…」と瑞季のことをそう表現した。
また「瑞季も愛海もれいなも奏音もいないと始まらなかったエビ中なので」、「みんなのおかげでここまで来てます」と続けた。
1人になっても続けてきた真山とオリジナルメンバー達の絆を垣間見た気がした。
それに加え瑞季にかけた「おめでとう」という言葉と「うちの出席番号1番」という表現は自然とそのまま、オリジナルメンバーだけでなく、後から入った元メンバーにも当てはまることを意味する。
奏音、瑞季、宇野愛海、宮崎れいな、杏野なつ、矢野妃菜喜、廣田あいか、小池梨緒、鈴木裕乃。
これらのメンバーが紡いできた歴史があるからこそ今のエビ中がある。
それはつまり転校しても「今、君がここにいる」ということなのだろう。
そして結成13年目はエビ中第三章の本格的な幕開けでもある。
出席番号13番桜木心菜、出席番号14番小久保柚乃、出席番号15番風見和香。
この三人の転入でまたエビ中がどうなっていくのか。
ターニングポイントには進化への期待とともに変化への不安もつきまとう。
何を隠そう自分もそれを感じている一人だ。
ただ思い出してほしい。
既存のメンバーも唯一のオリジナルメンバー1人を除いたら全員、後から転入したメンバーだということを。
安本彩花も、星名美怜も、柏木ひなたも、小林歌穂も、中山莉子も。
これだけ個性豊かなエビ中らしいメンバーも後から加入しているのだ。
そしてそこには真山りかもいるのだから、これからもエビ中はエビ中らしくエビ中であり続ける。
エビ中とはそういうグループだ。
新メンバーがアップしたInstagramにこんなものがあった。
投稿日は2021年7月16日。
「#エビ中なないろの日」と書かれた
見上げた青空の写真だった。
想いは、きっと繋がっている。
「過去」も「今」も、そして「これからも」