自由研究「エビ中とは?」⑤(最終回)

エビ中″らしさ″とは?】



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2021年に新メンバーオーディションが開催され、新たに3人が加入しエビ中は第三章に突入した。

メンバーの入れ替わりはエビ中の特徴であり歴史でもあるが、端から見ると「それでは本来のエビ中らしさや良さは消えていくのでは?」とも思ってしまう。
これに関してはかほりこ加入時のように「その変化自体がエビ中の良さ」とも言えるし、一方で廣田転校後は新メンバーを入れずに6人体制へこだわる等、第二章で模索したことでもある。

実際に2021年のオーディションや2014年のかほりこ加入の際にコンセプトの一つとしてあったのが「エビ中らしさ」。
新メンバーにもこれは求められてきたことであり、かほりこはまさにそれがありながら新しい風を吹き込んだ。

では、「エビ中らしさ」とは何なのか?

ライブのタイトルに「エビ中ってなんか説明しづらいけど」と平気でつける首脳陣に、メンバー自身がそれを模索している様子を見るとわかりそうにもないが…もう既にここまで長々と書いたようにエビ中には確固たる武器や個性が溢れている。
なのにわからない。

やはりこの「エビ中らしさ」に迫ることが「エビ中とは?」の答えに近づけるのではないか、そんな気がした。










エビ中最大の武器は圧倒的なパフォーマンス力。楽曲の質の高さとそれを表現する心技体の強さ。
メンバー達は個性豊かでいながら、紆余曲折を乗り越えてきた固い絆で結ばれており、それが滲み出る可笑しくも優しい平和な空気に「ファミリー」と呼ばれるファンは引き寄せられる。ファミリーもまた優しいと評判なのもその特徴のひとつ。


そんなエビ中の特徴がわかり始めた時に、どうしても違和感を感じたことがあった。



過去のライブ映像を見ていると、見慣れないメンバーがいた。
これだけメンバー変遷が激しいグループだ。インディーズ時代に所属していたメンバーなんかは映像が多いわけでもないので、現代では見慣れないメンバーがいてもおかしくはない。
しかしその映像には一緒にかほりこがいる。



そのメンバーはあまり歌唱パートがなく、たまに聞こえる声はお世辞にも歌がうまいとは言えなかった。
エビ中は歌がうまい」と思っていただけに「こんなメンバーがいたのか」と軽い衝撃を受けた。


凄く個人的で勝手なことを言えば、アイドルというものに興味はないがエビ中の歌唱力に捕まった人間なので、ちょっとこの事実は受け入れがたかった。

同じ映像にいる廣田あいかもあの特徴的な声など、奇抜ながらもどこかあるアイドルらしさゆえに苦手だ。が、彼女は歌がうまい。「エビ中の入り口」と自他ともに認める当時の中心メンバーであり、「エビ中らしさ」を担っていたであろう彼女には違和感こそあれど納得せざるを得ない。

しかし、この背が高いメンバーは違う。
「この子は何なんだろう?」新たな疑問が生まれた。














2017年2月8日、特にこの日を覚えてはいないがニュースの内容を聞けば思い出す。

しばらくして行われたというお別れ会に参列した人が2万人もいたという、そのインパクトをなんとなく覚えていたのかもしれない。
ただその亡くなった人を知らなかった。





2021年7月16日。
THE FIRST TAKEで『なないろ』を歌う私立恵比寿中学の歌に衝撃を受ける。
「大切な日に大切な曲」などの謎に直面し、調べる。

そこでようやくエビ中というものをわかり始め、松野莉奈という存在を知ることになる。



















出席番号9番、松野莉奈
キャッチフレーズは「見た目は大人、中身は子供」。メンバーカラーは青。

『なないろ』は一見恋愛ソングに聞こえるが、彼女に向けた歌だという。

やはり歌はうまくないようで、過去の映像をパッと見てもとてもグループの中心メンバーとは思えない。そんな彼女がなぜこんなにも愛されているのか。

誰かが去ったり、亡くなると神格化されることは多々ある。過去を美化するのは仕方ない。この時はそういうことなのか、とも思った。

当時のニュースを見ても「18歳アイドル急死」「早すぎる死」という、無闇に悲劇を煽る見出しが並び、コメントには「若いのにかわいそう」「不幸すぎる」というようなものが並び、すぐに見たくなくなる。
ただ、エビ中自体はあまり直接的には松野莉奈の名前を出してどうこうというのはしていないように見えた。もちろん亡くなった当時をリアルタイムには見てないのでそう感じるだけかもしれないが。




それでもエビ中の曲を聴けば松野莉奈の面影が見え隠れする。
『感情電車』、『藍色のMonday』なんかは普通に聴いていて「いい曲だな」と思った曲だ。彼女が亡くなったあとにリリースされたもので、そこに彼女の声はない。
なのに曲のことを調べれば調べるほど「松野莉奈」というワードがどうしても目に入ってくる。

「あの歌が下手で前に出ないような子がなんで?」と思うばかりだった。


聞けば松野はモデルをやっていたようだ。
モデルといえばそれだけで女子を中心に人気は強い。「だからか」とも思った。
言われてみれば背は高いし、整った顔立ちはモデルに相応しい。

でもなぜそんな子がエビ中にいるのだろうか。
モデルならモデルで行けそうなものだし、そもそもエビ中の歴史と照らし合わせれば転校していてもおかしくはない。


松野はかつて「みにちあベアーズ」というグループに所属し、そこを卒業し鈴木裕乃らとともにエビ中に転入している。
当時みにちあベアーズは小学校卒業と同時にグループを卒業するのが通例で、そこからエスカレーター式にエビ中に転入するのはお決まりのパターンだった。だが、鈴木や松野卒業の翌年からはそのエスカレーター式のパターンはなくなっている。
松野は身体の成長が早かったため衣装が合わなくなり当初の予定より1年早くみにちあベアーズを卒業している。それがなければエビ中に転入してなかった可能性があったということだ。


そんな運命のいたずら的にエビ中に転入し、モデルとしても活躍していた松野。
でも歌はうまくない。

その頃のエビ中は近年よりももう少し騒がしい曲やアイドルらしい曲も多く、そこまで歌唱力が求められた時代ではなかったのかもしれない。
彼女の生誕ライブを見ていても、まあ歌はうまくない。
それでも、楽しそうに歌う彼女とそれをわかって見ているファンは楽しそうだった。


歌っている時以外も松野はいつも楽しそうだ。
明らかにわかりやすい気分屋で飽き性なタイプだが、安本彩花星名美怜とじゃれ合っている時も柏木ひなたをおんぶしている時も楽しそうでしかない。
たぶん松野は誰よりもエビ中でいることを楽しんでいたのだと思う。

エビ中は「同じクラスにいても仲良くならない」と歌っているように個性がバラバラな集まりだ。そんな中で近藤キネオに「目立たない端っこにいるタイプ」と言われる安本や松野がグループに居続ける理由は真山が居続ける理由とはまた違う意味で大きい。

真山にとって松野は大きな妹のようだった。松野が悩んでいればアドバイスを送り、そんな真山を松野は頼りにしたし、真山がソロデビューした際にはまるで自分のことのように大喜びした。

安本と松野はみにちあベアーズ時代からの付き合いで、人見知り同士で親友。互いの家を行き来するぐらい公私ともに仲が良かった。
星名と松野は同じタイミングでエビ中に転入した同期。苦楽を共にした仲で、遠征では別部屋でも片方の部屋に集まって寝るほどいつも一緒にいた。
柏木は小さい時からいつも大きな松野の背中にいた。ペアで動くことが多く、ちょっと会えない日が続けば寂しがり、互いのパフォーマンスを尊敬し合っていた。

後から加入したかほりこにとっては松野は憧れの存在だった。最初は「ちゃんとお姉さんになれるかな」と不安を抱いていたとおり人見知りを炸裂させていた松野。それでも「なっちゃんにしてもらったことをぽーちゃんやりったんにしてあげたい」と自分がかつて杏野なつに助けてもらったことをかほりこにも、という気持ちを持っていた。
小林歌穂は加入当初からずっと「りななんみたいになりたい」と言い続け、中山莉子も「りななんみたいなモデルになりたい」と語っている。ちゃんとお姉さんをしていたようだ。

一人っ子の松野にとってはエビ中メンバーは姉妹のような存在だったのかもしれない。

かほりこの前では頑張ってお姉さんをするが、それ以外のメンバーの前では特に無邪気で自由に振る舞っていた。
腹が減れば集中力が著しく低下して地面をいじったり、宇宙と交信したり。食べるのが大好きだからお腹が満たされれば、たちまち謎の替え歌にダンスにと暴れ回り動き回る。
なのに松野は裏表がなく、驚くほど純粋無垢で誰にでも優しい。泣き虫で不器用で誰よりも努力家でいつもまっすぐで、エビ中が大好き。

だから松野の話をする時はみんなが楽しそうで笑顔になる。







知れば知るほど松野莉奈が「永遠に中学生」を地で行くような最も「エビ中らしい」メンバーなのだと気付かされた。



































2017年7月16日、「私立恵比寿中学 IDOL march HALLTOUR 2017~今、君とここにいる~」と銘打たれた春ツアーを完走したエビ中

完全新曲のアルバム『エビクラシー』を引っ提げてのツアー最終日は、奇しくも松野莉奈の誕生日。これは松野が亡くなる前から決まっていたことで本人も楽しみにしていたという。
会場は青く染まった。


メンバーは思い出話はよくしても、必要な時以外は表立ってあからさまに松野に対してのことを語るようなことはしない。世の中には言わなきゃ伝わらないこともあるが、言わなくても伝わる強い想いもある。

廣田あいかは春ツアー完走から半年後にグループを去ったが、これは真山がそのだいぶ前から察していたように遅かれ早かれこうなるということだったのだろう。
エビ中は6人体制となり、この頃から「歌と向き合う」ということがより顕著に。
初のオリコン1位を獲得した『エビクラシー』を聴いた椎名林檎から直々にトリビュートアルバムへの参加をオファーされ、カバーした『自由へ道連れ』は椎名林檎ファンからも高い評価を受け、いまやエビ中の勝負曲のひとつとなった。
コール・サイリウム禁止の着席観覧という異例のライブ『ちゅうおん』が恒例となったのもこの頃。

2019年発表のアルバム『MUSiC』、『playlist』の音楽性の高さやクオリティーは業界でも高い評価を受けている。


そういった姿勢と積み重ねが2021年の『THE FIRST TAKE』に繋がったのは言うまでもない。
潰えたかに見えた6人体制全員揃っての最後は、待ち望んだ安本彩花の復帰によりようやくここで叶うことになる。6人体制本当の最後、エビ中第二章の終幕はここにあった。

7月16日という大切な日にこのメンバーが揃って『なないろ』を歌う意味の大きさは計り知れないものがあった。

Twitterでは「#エビ中なないろの日」がトレンド入り。
そこには「りななん」「松野莉奈生誕祭」という言葉達も溢れていた。













人間は知性があるが、忘れていく生き物だと思う。
これは生物としての特徴であり、構造上仕方のないことではある。「新しいことを知るために古いことを忘れていく」ということでもある。
これは時に残酷で薄情にすら思う。どれだけ有名だったり、どれだけ尊敬された人でも、亡くなれば忘れ去られてしまうこともある。
著名人が亡くなったニュースに世間がどれだけ驚き悲しもうとも、ずっと忘れずにいる人など一握りだ。

自分自身、身近な友人が急に亡くなったという経験がある。その時も徐々に周囲が忘れてしまっていくのを感じてしまった。
そして忘れずにいることの大切さと難しさも。










エビ中に関わる人は誰もが優しく、愛に溢れている。

今回の『THE FIRST TAKE』に限らず、2月8日にはみんなが空を見上げる。
『なないろ』や松野が大好きな『全力ランナー』がかかれば、たちまちその場が青く染まる。

松野のお母さんは今も毎月8日Instagramに彼女に関する写真をアップし、星名はエビ中加入記念日5月22日の配信で毎年必ず「莉奈と」と口にし、お祝いに青い花を用意する。

家族やメンバーだけでなく理事長、校長をはじめとするマネージャーやスタッフ、共演者、ファミリーがずっと松野のことを忘れずにいる。





こうしてよく考えてみると、当時の報道やコメントに見受けられた「不幸」だとか「かわいそう」だとかいうものには何か違和感がある。
たしかに松野莉奈が亡くなったことは言葉にできないほどに重く、残念なことだ。ただそれと松野莉奈のそれまでの人生が「不幸」とか「かわいそう」というのはまた別なのではないだろうか。

真山が「あんなに愛されいて嬉しいし、羨ましくもある」と語ったように、少なくとも松野莉奈の18年間は決して不幸などではないと思う。
もちろん生前の松野莉奈を知らない人間がこんなことを言う権利がないのはわかっている。







松野莉奈が亡くなった直後、そのこともありエビ中知名度が上がった。
それについて小林歌穂は「なんでもっと早く気付いてくれなかったんだ!こんな偉人がいるのに」と語っている。
だいぶ遅れてだが、自分もそれに当てはまる。
同時に、こうして今でもエビ中を知り松野莉奈を知る人間がいるということの証明のひとつでもある。
それはエビ中松野莉奈を忘れないで続けてきたことが繋がっている。









たらればは言っても仕方ないことだとわかっている。
ないことだとわかっていても『紅の詩』だったら『自由へ道連れ』だったらどこのパートを歌うのだろうか、『星の数え方』ならこうだろうか、『ちゅうおん』のソロは何が合うかと考えてしまう。よく考えればおかしな話だ。

メンバーが「莉奈からのプレゼント」と言う初のオリコン1位を獲得した『エビクラシー』。それを聴いた椎名林檎がオファーし実現したのが『自由へ道連れ』だ。
さらにその流れを汲んだのが『MUSiC』や『playlist』。
これはおそらく漫画やドラマのように「松野莉奈が2017年2月8日以降も生きている世界線」に行ったとしても実現しないこと。そしてそれを生前の松野莉奈を知らない人間が見たいと言うのだからタイムパラドックスどころの話ではない。

しかも松野莉奈のことを「歌がうまくない子」と認識していた人間が、だ。

松野莉奈にはそれくらい人を惹き付ける、人に愛される"何か"があったということだろう。








2017年7月16日の春ツアーファイナル終演後、流れた曲は『感情電車』。

小林歌穂のフィーチャー曲で、彼女の良さが最も出る曲だ。
この小林というメンバーもまた不思議な子で、柏木ひなたのような圧倒的な声の出力や安本彩花のような安定性の高いピッチを誇るわけではない。なのに高音域でその良さが出る声を持っていて、物凄く優しく心に響く歌を歌う。
彼女を筆頭にエビ中の歌を聴いていると、歌には性格や心が出るように思う。ボイストレーナーの西山恵美子の方針や指導が色濃く出ているのではないだろうか。

そんな小林歌穂エビ中の優しい平和な空気が詰まった『感情電車』だが、春ツアーファイナル終演後に響いた声はいつもの小林の歌声ではなかった。
当時公開されていなかった音源にメンバーやファミリーも驚いたに違いない。

その声は全然「歌が下手」なんかじゃなかった。
無論、レコーディングは整った条件で幾らか手を加えたものが作られるのはわかる。
ただ、この歌がとんでもなく心に刺さるものだというのは聴けばわかる。
西山恵美子は小林歌穂の歌声について聞かれた時にこんなことを語っていた。
「あんなに人間性が出る声もない。歌心っていうのかな、それがあるの小林は。うん、小林と、松野は」








突如流れた松野莉奈の歌声にメンバーは表舞台では我慢していた涙を流した。
特に本来は割と泣き虫なはずなのに、人前ではとにかく意地を張る真山りかが号泣していたあたりに、様々な想いが表れていた。

幻だった『感情電車』が「どこにも止まれないよ」という言葉を残して終わる。すると幻だった『エビクラシー』の8人でのジャケット写真が画面に映し出された。

そしてこのツアーのタイトルである「今、君とここにいる」の文字が浮かび、ゆっくりと「これからも、君とここにいる」という文字に変わった。


舞台裏ではマネージャーの古溝由紀が舞台袖に置いた関係者用のパスをメンバーに見せた。
それは「松野莉奈/出席番号9番」と書かれたものだった。
続けて古溝はこう言った
「ずっと公演持ち歩いてるから、ちゃんとツアー回ってるから莉奈と」。
真山と星名が再び号泣する。常にグループを支える年長組二人が揃って泣き崩れる場面はそうない。それを横で優しく支える最年少組の小林。

このパスはこの時だけでなく、これ以降も毎回ライブの度に作られているという。



思い返してみればずっとそうだ。

廣田あいかの武道館での卒業ライブで『くっつきブンブン』として登場した時も
「約束の地」ハワイへ行った時も
結成10周年記念の『MUSiCフェス』を開催した時も
『THE FIRST TAKE』の『なないろ』でも


誰もが松野莉奈を想っている。


そしてエビ中が歌う限り、松野莉奈はそこにいる。





















2021年8月4日、私立恵比寿中学は結成12周年を迎えた。

期間限定のレッスンユニットだったグループが、「困難が多すぎる」と言われるほどの幾多の壁を乗り越え、紡いできた12年間の歴史は重い。

「パーフェクトピッチ」と言われるほどの才能を持つ安本彩花も、最初はその優しさからか自己主張ができずにいた。出席番号5番が表すようにその長いキャリアの中で、レッスンやステージを重ね己を磨き、悪性リンパ腫という病魔との戦いにも負けないほどに強くなった。

「360°どこから見てもアイドル」な星名美怜は、いつしか「革命ガール」となった。いつも先陣を切って朝のチャイムを鳴らし、ステージでは持ち前の高音を鳴らす。出席番号ラッキー7もまた死に直面するほどの重傷から立ち直り、持ち前の天真爛漫さと、それとは裏腹なお姉さん的な聡明さでグループを牽引している。

エビ中の末っ子」だった柏木ひなたも今やBOSSと呼ばれるほどの存在に。
突発性難聴になっても強く持ち続けた大好きな歌とダンスへのこだわり、そして大好きなエビ中へのこだわり。出席番号10番は「いつも笑顔」で『ebichu pride』を体現し続ける。

「歌う稲穂・ダンシングライス」出席番号11番小林歌穂。歌が好きになるようにと願った母が名付けたとおり、朗らかに楽しそうに歌う。バセドウ病を患っても磨いてきたその唯一無二の歌声はエビ中の大きな武器。持ち前の明るさと、滲み出るほどの優しさはグループを照らす平和の象徴でもある。

「さそり座の中学生」中山莉子。子鹿のようだった加入当初やそのかわいらしい見た目からは想像もつかない猛獣となった出席番号12番。ステージではまさに一生懸命にソウルフルに歌いながらも、ステージを降りると常に冷静に核心をつく。実は6人体制の最後まで長い休養はなくグループの安定性を支える存在でもある。


後から加入したこの5人が、困難を抱えながらも手を取り合い努力し、強い個性で「エビ中らしさ」を作ってきた。
そしてこの転入と転校を繰り返しながら幾度も荒波に晒されるグループを守ってきたのが、唯一のオリジナルメンバーである出席番号3番真山りかだ。
リーダー不在のグループにあって12年間、休むことなくステージに立ち続けたその功績はまさに「エビ中バンディエラ」と呼ぶに相応しい。かつて「特別な才能がなく普通」と言われた彼女が繰り出すパフォーマンスのレベルの高さは、そのままイコールでエビ中の歴史でもある。
実は甘えん坊だが、その責任感と優しさでグループを守る頼りになる最年長。真山がいるからこそ、エビ中エビ中らしくエビ中であり続けてこれたのだろう。




その真山が12周年記念のライブ配信で口にしたのは、周囲への感謝とかつての盟友達へのメッセージ。

「12周年おめでとう」と祝福のコメントをくれた元メンバーに対し

瑞季も…転校してから何年も経ってるけど…エビ中は永遠に中学生制度をとっているから″転校″してるから、12周年おめでとう」と真山は返し、「うちの出席番号1番が…」と瑞季のことをそう表現した。
また「瑞季愛海もれいなも奏音もいないと始まらなかったエビ中なので」、「みんなのおかげでここまで来てます」と続けた。

1人になっても続けてきた真山とオリジナルメンバー達の絆を垣間見た気がした。

それに加え瑞季にかけた「おめでとう」という言葉と「うちの出席番号1番」という表現は自然とそのまま、オリジナルメンバーだけでなく、後から入った元メンバーにも当てはまることを意味する。

奏音、瑞季宇野愛海宮崎れいな杏野なつ矢野妃菜喜廣田あいか小池梨緒鈴木裕乃

これらのメンバーが紡いできた歴史があるからこそ今のエビ中がある。

それはつまり転校しても「今、君がここにいる」ということなのだろう。











そして結成13年目はエビ中第三章の本格的な幕開けでもある。

出席番号13番桜木心菜、出席番号14番小久保柚乃、出席番号15番風見和香。
この三人の転入でまたエビ中がどうなっていくのか。

ターニングポイントには進化への期待とともに変化への不安もつきまとう。
何を隠そう自分もそれを感じている一人だ。

ただ思い出してほしい。
既存のメンバーも唯一のオリジナルメンバー1人を除いたら全員、後から転入したメンバーだということを。
安本彩花も、星名美怜も、柏木ひなたも、小林歌穂も、中山莉子も。
これだけ個性豊かなエビ中らしいメンバーも後から加入しているのだ。

そしてそこには真山りかもいるのだから、これからもエビ中エビ中らしくエビ中であり続ける。



エビ中とはそういうグループだ。















































新メンバーがアップしたInstagramにこんなものがあった。

































投稿日は2021年7月16日。
































「#エビ中なないろの日」と書かれた

見上げた青空の写真だった。


























想いは、きっと繋がっている。















「過去」も「今」も、そして「これからも」


















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